放牧による草地の植物の種多様性と生産性への影響を推定した

Yoshimura Y.,  Okada M., Sasaki T., Sato S. (2014) Plant species diversity and forage quality as affected by pasture management and simulated cattle activity. Population Ecology, Online early publication

日本の放牧草地にウシの採食を模した区、ウシの踏圧を模した区と無処理区(撹乱のない対照区)の実験区を設けた。実験後に出現した植物の種構成を調査した後、シミュレーションによりこれら3つの区の空間的割合が変化した際の多様度指数を予測した。

その結果、牧草地では無処理のパッチのみに比べると採食を模したパッチが増加するにつれて多様度指数は増加したが、多様度指数が最も大きくなったのは、採食と踏圧を模したパッチが共存した場合であった。しかし、踏圧を模したパッチは植物量が小さいため、生産性の低下が懸念される。

シミュレーションによって予測された放牧に伴う植物の種多様性と生産性の変化。図中の黒丸と縦線は1000回のシミュレーションで得られた中央値と最大値、最小値を表している。色のついた線はそれぞれ単位面積当たりにある植物の総栄養価を表している。TDNが可消化養分総量、NEmがエネルギー量、CPが粗タンパク質である。

 

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